エレキギターを始める人にとって弦はなくてはならないものですが、メーカーや種類が多すぎ、「選ぶ時の基準がわからない」となりがちです。
今回はそんなたくさんの弦の中から、初心者の皆さんにも手軽に選んでいただけるように、『おすすめのエレキギター弦5選』に絞って解説していきます。
ただしこれらの弦の中から、自分に合ったモノを選ぶためには、エレキギター弦の基本的な知識が必要です。
まずは、エレキギター弦の『素材・太さ・巻弦の形状』といった選ぶときのポイントから見ていきましょう!
エレキギター弦の選び方
店頭に並んでいるエレキギター弦のパッケージはどれも酷似しており、特に初心者の方ですとメーカーの違いは判断できても、そのほかの細かい違いをなかなか見分けられません。
そのため、弦を買ってはみたものの、自分のギターや用途に合わずゴミ箱行きになってしまった…なんてこともギター初心者あるあるです。
しかし、エレキギター弦を選んでいく上で見るべきは、以下の3つのポイントのみです!
- 弦の素材の違い
- 弦の太さの違い
- 巻弦の形状の違い
この3つさえ押さえておけば、初心者でも自分に合った弦選びを簡単に行えますので、まずはここから説明して参ります。
また、筆者がおすすめする弦メーカーも最後に付け加えてお伝えします!
弦の素材から選ぶ
まず1つ目のポイント、エレキギター弦の素材は、主に以下の3種類から構成されます。
- ニッケル弦
- ステンレス弦
- コーティング弦
さっそく、それぞれの素材について、見ていきましょう!
ニッケル弦
ニッケル弦は、昔からエレキギター弦の定番として最も普及しており、エレキギター出荷時に張られている弦のほとんどはコレです。
特徴は以下のようになります。
- 柔らかい素材で、演奏しやすい
- 比較的安価で、弦の寿命は半月〜1ヶ月
- ギターピックアップとの相性が良い
ニッケル弦は柔らかく弾きやすい素材で、ほとんどのエレキギタリストがメインで使用しており、この3種類の弦の中では最も安価です。
磁石を材料としているギターピックアップとの相性も良く、エレキギターに最も合う素材です!
しかし、弦の寿命はおよそ半月〜1ヶ月で、早い時期での交換が必要です。
ステンレス弦
ステンレス弦は、鋼鉄とクロームの合金で、前述のニッケル弦に次いで需要が多くなっています。
特徴は以下のようになります。
- 硬い素材で、サビにくい
- ニッケル弦よりも少し高価、寿命は少し長い
- シャープでトレブリーなサウンド
ステンレス弦は、手汗などの汚れに強くサビにくいというメリットがあり、硬質でハリのある音質が特徴です。
人によっては、多少クセのある音に感じるかもしれませんが、カッティング奏法のキレにこだわる方は試してみる価値ありです!
コーティング弦
コーティング弦は、ニッケル弦にコーティングを施し、基本的には弦を長持ちさせるために開発されたものです。
特徴は以下のようになります。
- 滑りが良く、フィンガリングノイズが少ない
- 通常の弦に比べ、約2~3倍高価
- 通常の弦より約2~3倍長持ち
- 通常の弦に比べ、音抜けが悪い
コーティング弦は、弦全体に薄い膜でコーティングを施すことによって手汗などから弦を守り、かつスムーズなフィンガリングを実現しています。
このため、通常の弦に比べ耐久性が高く寿命は約2~3倍となりますので、弦交換の手間をグッと減らすことができます。
コーティング弦特有の、若干こもりがちな音質は否めませんが、弦交換の手間と時間が惜しい方にはおすすめです!
弦の太さから選ぶ
次に2つ目のポイント、エレキギター弦のゲージの太さは下記の3つが基本となります。
- スーパーライトゲージ
- ライトゲージ
- ミディアムゲージ
上記1〜3の順に、少しずつ弦が太くなっていき、価格も若干高くなっていきます。
とはいえ、同じ素材の弦で1と3を比べても100円程度の差ですので、太さよりも素材の違いの方が価格に与える影響は大きいですね。
では、それぞれの太さについて、見ていきましょう!
スーパーライトゲージ
スーパーライトゲージは、この3種類の中で一番弦が細く押さえやすいため、これからギターを始める初心者の方に特におすすめしたいゲージです!
弦の太さは以下の通りです。
1弦 | 2弦 | 3弦 | 4弦 | 5弦 | 6弦 | |
---|---|---|---|---|---|---|
太さ(インチ) | .009 | .011 | .016 | .024 | .032 | .042 |
細い=柔らかいということもあり音圧やパワーはそこそこですが、エレキギターで多用する、チョーキング・速弾きなどの奏法に適しています。
ライトゲージ
ライトゲージは、エレキギター弦の『これぞ標準!』といった太さで、プロアマ問わず最も使用されています。
弦の太さは以下の通りです。
1弦 | 2弦 | 3弦 | 4弦 | 5弦 | 6弦 | |
---|---|---|---|---|---|---|
太さ(インチ) | .010 | .013 | .017 | .026 | .036 | .046 |
前述したスーパーライトゲージより各弦とも太くなっており、音圧やパワーも、非常にバランス良くまとまっています。
このライトゲージまでを楽に弾きこなせるようになれば「初心者卒業」と自信を持って言えますので、まずはそこを目指して練習することが理想ですね。
適度な弦のテンション感もあり、弾き心地も抜群なゲージです!
ミディアムゲージ
ミディアムゲージは、一般的に太めのゲージと認識されており、前述した2つのゲージに比べ当然押さえづらくなります。
弦の太さは以下の通りです。
1弦 | 2弦 | 3弦 | 4弦 | 5弦 | 6弦 | |
---|---|---|---|---|---|---|
太さ(インチ) | .011 | .014 | .018 | .028 | .038 | .049 |
ミディアムゲージは、低音の効いた重厚なサウンドが特徴ですが、通常のギターやチューニングですとテンションがキツく弾きにくくなってしまいます。
一方、レスポールなどのショート・ミディアムスケールのギターに張ったり、ロングスケールのギターでもダウンチューニングで使用するのであれば、ちょうど良いテンション感で弾きやすくなります。
これらの特徴を生かした、ハードロック・メタル系のミュージシャンには好まれる仕様だといえますが、特殊な使い方であるため、初心者の方は避けた方が無難です。
巻弦の形状から選ぶ
最後に3つ目のポイント、エレキギター低音弦の巻弦の形状は、以下の2種類に分けられます。
- ラウンドワウンド
- フラットワウンド
それでは、どのような違いがあるのか、以下で比較・解説していきます!
ラウンドワウンド
ラウンドワウンドは、ほとんどのギタリストが使用している最もポピュラーな形状の弦です。
音質的には、長いサスティンとブライトなサウンドが特徴で、幅広いジャンルの音楽に対応できます。
「維持する」という意味で、音楽的には楽器を弾いた時の音の伸びを指します。
初心者の方は、迷わずコレを選ぶと良いでしょう!
具体的な形状としては、下図のように巻線の断面が丸くなっており、弦に触れるとザラッとした感触がします。
フラットワウンド
フラットワウンドは、ジャズギタリストに大変人気のある形状の弦です。
音質的には前述のラウンドワウンドとは真逆で、短めのサスティンと中低域の豊かなメロウなサウンドとなります。
ジャズギター独特の音色をつくるにはコレしかありません!
初心者の方でも『ジャズギタリストを目指すんだ!』という確たる意志のある方は、こちらを選ぶのも当然ありです。
具体的な形状としては、下図のように巻線の断面が平たく研磨されており、触れるとツルツルとした感触が特徴です。
エレキギター弦のおすすめメーカー
私はアマチュアの時期も含めるとギター歴35年で、今まで数多くのエレキギター弦を試してきました。
使用した有名メーカーは、ダダリオ(D’Addario)・アニーボール(ERNIE BALL)・エリクサー(Elixir)などなどです。
それらのメーカーの中から、長い間試した結果、たった1つ選び抜いたメーカーがあります。
それは『ダダリオ(D’Addario)』です!
その他のメーカーもそれぞれに良い面があり、アニーボール(ERNIE BALL)など、コスパの高いメーカーもあります。
しかしそれにも増して『ダダリオ(D’Addario)』はお手頃価格でありながら『音質・弾きやすさ・寿命』など、どれをとっても水準が高く、品質的にとても信頼できます。
これこそ『弦の基準』というにふさわしいメーカーですので、初心者の方にも自信を持っておすすめできます!
弦の寿命について
弦の寿命は、主に下記の3つの要素によって変化します。
- 弦の素材
- 弦の太さ
- ギターを弾く頻度
それでは、1〜3それぞれの要素から弦の寿命を考察していきます。
そして、この3つの要素から、自分の弦の交換時期を決めていきましょう!
弦の素材から見た寿命
まずは、弦の寿命に最も影響度の高い『弦の素材』から違いを見ていきます。
弦の素材 | 弦の寿命 |
---|---|
ニッケル弦 | 2週間〜1ヶ月 |
ステンレス弦 | 1ヶ月前後 |
コーティング弦 | 2〜3ヶ月 |
上記表のように、寿命に関してはコーティング弦の圧勝です!
高価でありながら、最近ユーザーが増えているのも納得の結果です。
弦の太さから見た寿命
次に、『弦の太さ』から見た寿命の違いを見ていきます。
ここでは、判りやすいようにそれぞれのゲージの1弦を基準にして解説していきます。
ゲージ名 | 1弦の太さ(インチ) | 弦の寿命(倍) |
---|---|---|
スーパーライト | .009 | 0.9 |
ライト | .010 | 1 |
ミディアム | .011 | 1.1 |
上記表のように『ライト』と『スーパーライト』では太さに0.9倍、『ライト』と『ミディアム』では太さに1.1倍の違いがあります。
そして弦が太くなるほど、手汗などによる弦全体の腐食の割合が低くなり、そのため交換が必要になるまでの期間が長くなります。
単純に弦の寿命が太さに比例すると考えると、『ライト』に比べ『スーパーライト』の寿命は0.9倍、『ライト』に比べ、『ミディアム』の寿命は1.1倍となります。
これまで長い間、私がいろんな太さのゲージを使ってみて、体感したことを表にしたものです。
一見、関係なさそうな要素ですが、意外と弦の太さでも寿命は違ってくるものです!
ギターを弾く頻度から見た寿命
最後は、ギターを弾く頻度から見た弦の寿命です。
当然、ギターは弾けば弾くほど弦の消耗度が増していきます。
これは、私がギターを始めたばかりの高校生の頃の話です。
エレキギターでチョーキングを「これでもか!」ていうくらい練習していた時は、1日のうちに5回程弦を切ってしまい、その度に弦を買いに出かけていた記憶があります笑
この話は極端な例ですが、とにかく弾く時間に比例して弦は消耗すると覚えておきましょう!
おすすめエレキギター弦5選はコレ!
エレキギター弦の、種類・特徴・寿命についての基本が身についたところで、いよいよ『おすすめエレキギター弦5選』の紹介に入ります。
初心者にも安心して使用できる、基準となる商品ばかりですので、最初はこの中から選べば間違いなしです!
D’Addario / EXL120 XL Nickel Round Wound Super Light
D’Addario / EXL120は、エレキギター弦の基準といわれるライトゲージよりも少し細めのスーパーライトゲージです。
素材はニッケル、巻弦の形状はラウンドワウンドで、少々繊細ですが明るくハッキリした良い音色です。
ギターをこれから始める方や、ライトゲージでは思うように押さえられない方には、このD’Addario / EXL120をおすすめします!
また、細かいフレーズやチョーキングなど、ロック特有の奏法・テクニックを多用する方にも使い勝手が良く好評な商品です!
D’Addario / EXL110 XL Nickel Round Wound Regular Light
D’Addario / EXL110は、エレキギター弦の基準とされる太さのライトゲージで、多くのギタリストに愛用される超定番商品です。
素材はニッケル、巻弦の形状はラウンドワウンドで、前述のD’Addario / EXL120よりも弦が太いため、音圧・コシのあるサウンドが特徴です。
どのようなギター・ジャンルにも非常にバランス良く対応できるため、初心者からプロまで弾き手を選びません!
全てのエレキギタリストに自信を持っておすすめできる商品です!
D’Addario / EPS510 XL ProSteels Round Wound Regular Light
D’Addario / EPS510は、素材にステンレスを使用していることが最大の特徴で、前述した2つのニッケル弦よりも寿命は少し長くなります。
弦の太さはライトゲージ、巻弦の形状はラウンドワウンドと素材以外は標準的なスペックです。
気になる音質はといいますと、ニッケル弦に比べ、ブライトかつ低音域に締まりがありサスティンも抜群です!
弾き心地に関してはザラついた独特の感触があり、ニッケル弦に慣れてる方は違和感を感じる方も多いでしょう。
しかしながら、ニッケル弦には出せない個性的なサウンドに魅力を感じ、新たな可能性を求め使用するギタリストも増えてきています!
D’Addario / ECG25 XL Chromes Flat Wound Light
D’Addario / ECG25は、素材はステンレス、巻弦の形状はフラットワウンドを使用している、ジャズギター超定番の商品です。
このようなジャズギター専用の弦はちょっと変わっていて、ライトゲージでも弦の太さは1弦:0.12〜6弦:0.52となっています。
昔のジャズギターは生音だったので、アコギくくりのなごりかな?と筆者は勝手に思っていますが、、、
ちなみにアコギのライトゲージは、このD’Addario / ECG25とほぼ同じサイズです。
下記記事が参考になります!
ということで、このD’Addario / ECG25も普通の感覚で購入すると「げっ!太すぎ!」となってしまうのでご注意ください!
またフラットワウンドですので、ツルツルした触り心地なのと、ステンレスでこの太さなので、使用感もかなり硬めです。
しかし音色は、とにかく『これぞジャズギター』といった甘くメロウなサウンドで、フラットワウンド特有の不自然な低音のこもりも少なくスッキリとしています。
ジャズギタリストの方にはイチオシの商品です!
ELIXIR / OPTIWEB Light
ELIXIR / OPTIWEB Lightは、最近需要がさらに増えてきた、長寿命がウリのコーティング弦の定番商品です。
一昔前のコーティング技術は、POLYWEB(ポリウェブ)と呼ばれ、一言でいうと分厚いコーティング加工でした。
ですので、どうしても弦の響きが阻害され、こもったサウンドとなっていました。
しかし現在では、コーティング技術も格段に進歩し、OPTIWEB(オプティウェブ)という『究極的に薄いコーティング技術』が主流です。
ELIXIR / OPTIWEB Lightはこの技術で、ビックリするくらい自然な弾き心地・サウンドでありながら、通常の弦の3倍の長寿命を実現しています。
ちなみに、コーティング弦嫌いな私でも、気づかず使ってしまうくらいナチュラルな仕上がりです!
価格は通常の弦の2〜3倍となっており高価ですが、寿命も3倍となりランニングコストはそこまで大きく変わりません。
しかし、張り替えの手間と時間を減らせることを考えるととても効率的です。
ブライトで迫力のあるサウンドとフィンガーノイズも程よく抑えられており、張り替え直後の音質が長期間維持できることから、プロアマ問わずリピーター続出中です!
弦の張り替えがキライな方には超おすすめの商品です!
まずはおすすめ5選から、自分に合った弦を探そう!
最後にエレキギター弦を選ぶ優先順位を下のようにまとめてみました。
- まずはダダリオのニッケル弦を使用
- 弦の太さは、まずはライトから
- 押さえづらい場合は、スーパーライトを使用
- ライトゲージでも弾きこなせるように練習
- 余裕があればステンレス弦・コーティング弦も試してみる
- 試した中から自分にとってベストな弦を使用
以上となります。
上記、1〜5までの項目をまず試していきます。
最終的に、ライトゲージの太さも弾きこなせるようになったら、項目6の自分にとってベストな弦を選んでいきます。
そして、これを実行するにはおすすめ5選を体感していくのが、最も効率の良い方法だといえます!
皆さんもこれを参考に、自分にとって最高のエレキギター弦を探し出しましょう!
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